医療ニーズの高い方のケアマネジャー選び|退院後の在宅生活で確認したいこと
「点滴はご自宅でも続きます。たんの吸引も、ご家族に覚えていただくことになります」。退院前の面談でそう説明されたとき、連れて帰りたい気持ちと、自分たちに務まるのかという不安が、同時に押し寄せてきます。
医療的な処置が必要な状態で在宅生活を始める場合も、ケアマネジャー(介護支援専門員)の探し方そのものは変わりません。変わるのは、候補が見つかったあとに確認しておきたいことの中身です。医療機関とどれだけやり取りできる人か、急な変化にどう動く事業所か。順に整理します。
医療ニーズが高いと、ケアマネジャー選びの何が変わるのか
訪問看護や通所リハビリテーションなどの医療系サービスをケアプラン(居宅サービス計画)に位置づけるには、主治医の指示があることが条件だと国の運営基準で定められています。意見を求めた主治医にケアプランを交付することも、ケアマネジャーの義務です。
つまり医療ニーズの高い方のケアプランは、ケアマネジャーが単独で組み立てられるものではありません。主治医、訪問看護師、薬剤師、リハビリテーション職のあいだに立ち、情報を行き来させる役割が求められます。
探し方の入口は、地域包括支援センター、市の事業所一覧、病院の相談室、事業所への直接連絡の四つです。それぞれの特徴は「高槻市でケアマネジャーを探す方法」で整理しています。
「医療ニーズが高い」とは、どういう状態を指すのか
制度上の明確な線引きはありませんが、在宅の現場ではおおむね次のような状態が想定されます。
- 在宅酸素療法を使っている
- たんの吸引が必要
- 胃ろうや経鼻チューブによる経管栄養を行っている
- 点滴や中心静脈栄養を続けている
- インスリン注射など、毎日決まった時間の処置がある
- 膀胱留置カテーテルやストーマの管理が必要
- 床ずれの処置を継続している
- 人工呼吸器を使用している、または末期の悪性腫瘍と診断されている
これらに当てはまらなくても、退院してまもない時期は状態が動きやすく、実質的に医療ニーズが高い期間です。入院中は病棟の看護師が担っていたことが、退院した日から自宅の生活に移ってくるためです。

在宅で医療を支えるしくみを知っておく
訪問看護は介護保険と医療保険のどちらからも使える
要介護認定を受けている方の訪問看護は、原則として介護保険から給付されます。ただし、末期の悪性腫瘍やパーキンソン病関連疾患など国が定めた疾病等に該当する場合や、状態が急に悪化して主治医が特別訪問看護指示書を交付した場合には、医療保険に切り替わります。
介護保険の訪問看護は区分支給限度基準額の枠のなかで数えますが、医療保険の期間は別に計算されるため、費用の考え方が変わります。どちらを使うかは主治医の判断と指示書の記載で決まりますので、主治医か訪問看護ステーションにご確認ください。
通院が難しいときは訪問診療という方法がある
外来へ通うことが難しくなった場合、医師が定期的に自宅を訪れる訪問診療や、必要が生じたときに来てもらう往診という形があります。薬剤師、管理栄養士、歯科医師などが訪問して指導を行う居宅療養管理指導も、介護保険のサービスです。診療所をご家族だけで探すのは骨が折れますので、ここはケアマネジャーや入院先の相談室に頼ってよい部分です。
たんの吸引や経管栄養を、介護職員が担える場合がある
たんの吸引や経管栄養は本来、医師や看護師が行う医行為です。ただし平成24年度の法改正により、所定の研修を修了して都道府県の認定を受けた介護職員が、登録を受けた事業所において、医師の指示と看護職員との連携のもとで実施できるようになりました。すべての訪問介護事業所が対応しているわけではないため、夜間や早朝の吸引をどう回すかは大きな論点になります。
ケアマネジャーに確認しておきたい5つのこと
初回の面談で次のことを聞いてみてください。答えの内容よりも、答え方に事業所の姿勢が出ます
医療機関とやり取りしてきた経験があるか
これから必要になる処置を挙げて、似た状態の方を担当した経験があるかを尋ねます。経験がないという答えでも、それだけで候補から外す必要はありません。訪問看護と密に連携して補う、という具体的な説明があるかを見てください。
主治医や訪問看護と、どのように連絡を取るのか
状態の変化を医療側に早く伝えられるかどうかが分かれ目になります。主治医への連絡は誰がどの経路で行うのか、訪問看護からの報告はどう共有されるのか。ここが曖昧なまま始まると、ご家族が伝言役を全部引き受けることになりがちです
夜間や休日に急変したとき、どう動くことになっているか
ケアマネジャー本人が24時間対応するわけではありません。確認したいのは、連絡先の並び順があらかじめ決めてあるかどうかです。訪問看護ステーションの24時間対応体制を使うのか、主治医に直接連絡するのか、救急要請はどう判断するのか。
医療機器を使う暮らしと、停電や災害への備え
在宅酸素濃縮器や吸引器、人工呼吸器は電気で動きます。停電したときにどこへ連絡し、どこへ避難するのか。介護サービス事業所には業務継続計画(BCP)の策定が求められていますので、有事にどう支援を続けるつもりかを尋ねてみてください。
専門用語を、かみくだいて説明してくれるか
分からないまま話が進んでいく感覚は、それ自体がご家族の負担になります。面談で聞き慣れない言葉が出てきたら、その場で聞き返してみてください。そのときの反応が、これから何年か付き合ううえでの相性を、かなり正直に教えてくれます。

退院前カンファレンスで詰めておきたいこと
入院中に、病院側と在宅側の関係者が集まって話し合う場が設けられることがあります。段取りの全体像は「親の退院が決まったら、ケアマネジャーはどう探せば良い?」で説明していますので、ここでは医療ニーズが高い場合の確認項目だけを挙げます。
- 処置の頻度と、それを誰が担うのか(訪問看護、介護職員、ご家族の分担)
- ガーゼや吸引チューブなどの衛生材料を、どこから、どう入手するのか
- 医療機器のレンタル元と、故障したときの連絡先
- 状態が悪くなったとき、まずどこへ連絡するのか
- 次の受診はいつで、どうやって通院するのか
見落とされやすいのが衛生材料の入手経路です。入院中は病棟から出てくるので意識せずに済みますが、自宅では誰かが手配しなければ届きません。帰宅して数日後に足りなくなって慌てる、という場面は実際にあります。

費用はどう考えればよいか
ケアマネジャーに支払う費用の心配はいりません。居宅介護支援の費用は全額が介護保険から給付され、利用者の自己負担はありません。相談から利用開始までの流れは「介護認定前でもケアマネジャーに相談できる?」でまとめています。
注意したいのは、医療と介護の両方を使うと負担が二つの制度にまたがる点です。介護保険サービスの自己負担と、医療機関や医療保険の訪問看護にかかる自己負担は、それぞれ別に発生します。ただし両方に負担がある世帯には、1年間の合計額が一定の上限を超えたときに超過分が支給される高額医療・高額介護合算療養費制度があります。国民健康保険と後期高齢者医療制度の窓口は、高槻市役所本館1階の国民健康保険課給付・後期チーム(電話072-674-7079)です。
高槻市で相談できるところ
高槻市には地域包括支援センターが市内12か所に設置されており、町名ごとに担当地区が決まっています。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などが配置されていて、在宅医療と介護の連携についての市民の方からの相談も、ここで受け付けています。
要介護認定の申請や介護保険制度全般については、高槻市役所本館1階の長寿介護課(7・8番窓口、電話072-674-7166)が窓口です。
高槻市は「たかつき在宅療養安心ガイドブック」もホームページで公開しています。在宅療養に関わる専門職や制度の基本がまとまっているので、何から知ればよいか分からない段階で目を通しておくと、全体像がつかみやすくなります。
よくあるご質問
Q. 医療的な処置が多いと、ケアマネジャーに断られやすいのでしょうか
A. 医療ニーズを理由に断らなければならない決まりはありません。ただし担当できる件数には限りがあるため、時期によっては受けられないという返事になることがあります。その場合は次の候補へ連絡するか、地域包括支援センターに調整を依頼してください。
Q. ケアマネジャーは看護師の資格を持っている人のほうがよいですか
A. 医療的な話が通じやすいという利点はあります。一方で、介護福祉士や社会福祉士を基礎資格とするケアマネジャーが、訪問看護と連携しながら医療ニーズの高い方を支えている例も数多くあります。資格の種類だけで判断せず、どう連携するつもりかを聞いてみるほうが確かです。
Q. 訪問看護は誰が手配するのですか
A. 主治医が訪問看護指示書を交付し、ケアマネジャーが訪問看護ステーションと調整してケアプランに位置づける、という流れが基本です。入院中に始める場合は、病院の相談室が間に入ることもあります。
Q. 担当のケアマネジャーが合わないと感じたら、変えられますか
A. 変更できます。回数の制限も、変更にかかる費用もありません。医療との連携がうまくいっていないと感じる場合も、変更を考えてよい理由の一つです。手続きは「ケアマネジャーは自分で選べる?変更したいときの手続きと注意点」でご確認いただけます。
医療との連携が必要なご相談も、高槻市のカサージュ・ケアプランセンターへ
| カサージュ・ケアプランセンターは高槻市の指定居宅介護支援事業所です。 看護師資格を保有している職員が複数在籍しており、医療機関との連携や医療依存度の高い方への対応を得意としています。 また、災害時に備えた業務継続計画(BCP)にも取り組んでおり、停電や災害が起きたときに支援を続けられる体制づくりを進めています。 入院中で退院後の生活をどう組み立てるか迷っている、要介護認定をまだ申請していない、在宅酸素や吸引が必要になると言われたが何から手をつければよいか分からない、いまの事業所からの変更を考えている。どの段階のご相談でも承ります。 遠方にお住まいのご家族からのお問い合わせにも対応しています。在宅にするかどうかまだ決めていない、という段階でも構いません。話を聞いてみて合わないと感じたら、そこで終わりにしていただいて差し支えありません。 お問い合わせ カサージュ・ケアプランセンター 電話:072-628-7892 受付時間:9:00~17:00 土日祝除く |
