訪問介護でできること・できないこと|ヘルパーに頼める家事の範囲
ヘルパーに来てもらうようになって、ついでに庭の草を抜いてもらえないかと頼んだら、それはできませんと言われた。同居している娘の分の食事も作ってほしいと伝えたら、断られた。冷たいと感じてしまうかもしれませんが、これは事業所の方針ではありません。
訪問介護でできることの範囲は、国の通知で決まっています。断られるのは、その線の外側にあたるからです。どこに線が引かれているのかが分かると、頼めることと、別の方法を考えたほうがよいことを、あらかじめ整理しておけます。

訪問介護は、二つに分かれています
まず前提として、訪問介護は身体介護と生活援助の二つに区分されています。この区分は、平成12年の老計第10号という厚生労働省の通知で示されているものです。
| 身体介護 | 生活援助 | |
| 内容 | 食事、入浴、排泄、着替え、移動などの介助 | 掃除、洗濯、調理、買い物などの家事 |
| 考え方 | ご本人の身体に直接ふれる介助と、自立を後押しする援助 | ご本人ができない家事をヘルパーが代わりに行う |
| 同居家族 | 同居家族がいても使えます | 原則として制限があります |
「体にふれるかどうか」だけでは分かれません
以前は、身体にふれる介助が身体介護、家事の代行が生活援助という理解で、おおむね間に合っていました。ただ、平成30年3月にこの通知が改正され、区分の考え方が広がりました。
改正で明確にされたのが、自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助という考え方です。ヘルパーが代わりにやってしまうのではなく、ご本人が自分でできるように、安全を確保しながら側について行う援助のことです。これは家事の場面であっても身体介護に区分されます。
たとえば、ご本人と一緒に手順を確認しながら掃除をする、調理の下ごしらえを一緒に行う、ごみの分別を一緒にやってみる。これらは、ご本人の力を使うことを目的にしているので、代行ではなく身体介護として扱われます。改正では、こうした援助の例が7つから15に増えました。
この違いは、ご家族にとっても意味があります。「ヘルパーが全部やってくれない」と感じる場面は、実はこの見守り的援助であることが少なくありません。手を出さないのではなく、そうすることでご本人の力を保つという意図があります。
対象にならないのは、三つの理由からです
できないと言われる行為は、おおむね次の三つのどれかに当たります。
ご本人以外のための行為
訪問介護は、要介護認定を受けたご本人への援助です。ですから、ご家族の分の洗濯、調理、買い物、布団干しは対象になりません。ご本人が使っていない部屋の掃除、来客の応接、自家用車の洗車も同じ理由で対象外です。
同じ台所で作るのだから一緒に作ってもらえないか、と思われるのは自然なことですが、制度としては分けられています。
ヘルパーが行わなくても、日常生活に支障が生じない行為
草むしり、花木の水やり、犬の散歩などペットの世話が、ここに当たります。生活に必要ではあっても、それができないことでご本人の日常生活が成り立たなくなるわけではない、という考え方です。
日常的に行われる家事の範囲を超える行為
大掃除、窓ガラス磨き、床のワックスがけ、家具や電気器具の移動や修繕、模様替え、家屋の修理、ペンキ塗り、植木の剪定。それに、お正月や節句のために特別な手間をかけて行う調理も含まれます。
毎日の暮らしを回すための家事はできますが、年に一度の作業や、手をかけた特別な料理は範囲の外になります。
このほか、医行為に当たるものは原則としてヘルパーが行えません。たんの吸引や経管栄養は、研修を修了して認定を受けた介護職員が、医師の指示と看護職員との連携のもとで行える場合があります。医療的な支援が必要な場合の組み立ては「医療ニーズの高い方のケアマネジャー選び」でまとめています。
掃除はどこまで頼めるのか

いちばん質問が多いのが掃除です。介護保険の適応かどうかの線引きの考え方はこうなります。
ご本人が日常的に使う場所は対象になります。居室、トイレ、浴室、洗面所、台所。ここを清潔に保つことは、ご本人の生活に直接関わるためです。
一方で、ご本人が使っていない部屋、ベランダ、庭、物置は対象になりません。玄関のように、ご本人が使うともご家族が使うとも言える場所は、住まいの状況によって判断が変わります。
つまり、場所の名前で機械的に決まるのではなく、ご本人の生活にとって必要かどうかで決まります。ここが分かりにくいところなので、具体的にどこまでを頼めるかは、ケアプランを作る段階で担当のケアマネジャーに確認しておいてください。
同居家族がいると、生活援助は使えないのでしょうか
原則としては制限があります。老計第10号にも、同居の家族等がいる場合は、その家族が障害や疾病などの理由で家事を行うことが困難であることが、生活援助の算定の条件とされている旨が示されています。
ただし、一律に使えないわけではありません。国は、家族がいるからといって機械的に判断するのではなく、個別の状況を見て、適切なケアマネジメントを経て判断するという考え方を示しています。
実際に考慮されるのは、次のような事情です。
・同居のご家族が障害や疾病のために家事を行えない
・同居のご家族も高齢で、家事を行うことが難しい
・同居のご家族が就労や通学のため日中不在で、その時間に支援がないとご本人の生活に影響が出る
・家族関係に深刻な問題があり、援助が期待できない
注意しておきたいのは、日中不在の場合の扱いです。ご家族が家にいる時間帯、たとえば夜間や休日に対応すれば足りることについては、援助の対象になりません。日中でなければ困ることかどうかが判断の分かれ目になります。
また、同居かどうかの判断も見た目どおりではありません。住民票が別でも同じ家屋に住んでいる場合、二世帯住宅で台所や浴室を共用している場合、同じ敷地内の別の家に住んでいる場合は、同居として扱われることがあります。
この取扱いは、市町村によって手続きが異なります。生活援助をケアプランに位置づける際に、理由を記した書類の提出を求めている市もあります。高槻市での取扱いについては、担当のケアマネジャーか、高槻市の長寿介護課(電話072-674-7166)にご確認ください。
もうひとつ、生活援助を通常よりかなり多い回数でケアプランに入れる場合、市町村への届出が必要になる仕組みもあります。回数が多いと必ず認められないという話ではありませんが、なぜその回数が必要かの説明が求められます。
断られたときに、できること
介護保険で頼めないことが分かったとき、選択肢は三つあります。
ひとつは、介護保険を使わない自費のサービスです。同じ事業所が保険外のサービスも行っている場合があり、草むしりや大掃除、ご家族の分の家事にも対応できます。費用は全額自己負担になりますが、内容の制約はありません。
ふたつめは、地域の支え合いのしくみです。高槻市では、地区福祉委員会による見守りや、買い物や外出の付き添いといったちょっとした手伝いを担う生活支援サポーターの事業があります。問い合わせ先は高槻市社会福祉協議会(電話072-674-7497)です。
三つめは、シルバー人材センターや民間の家事代行など、介護保険とは別の事業者に頼む方法です。
できないと言われたところで話を終えず、それなら何で埋めるかまで一緒に考えるのが、ケアマネジャーの役割だと考えています。まだご相談されていない段階であれば、相談から利用開始までの流れは「介護認定前でもケアマネジャーに相談できる?」でまとめています。
よくあるご質問
Q1:同居している家族の分も、まとめて調理してもらえませんか
A1:できません。訪問介護はご本人への援助と定められており、ご家族の分の調理は対象外です。自費のサービスであれば対応できる場合がありますので、担当のケアマネジャーにご相談ください。
Q2:本人ができることまでヘルパーがやってしまうのは、どうなのでしょうか
A2:できることを取り上げてしまうと、その力は落ちていきます。制度としても、ご本人が自分でできるように側について行う援助を身体介護として位置づけています。もし手を出しすぎていると感じられるようであれば、ケアプランを見直す機会にご相談ください。
Q3:通院に付き添ってもらえますか
A3:通院等乗降介助という区分があり、要介護1以上の方が利用できます。ただし病院に着いてからの院内の介助は、原則として病院の職員が対応するものとされています。詳しくは「高齢の親の通院や買い物、どう支える?」でまとめています。
Q4:ヘルパーの人によって、やってくれることが違うように感じます
A4:訪問介護の内容は訪問介護計画に定められていて、担当者によって変わるものではありません。違いを感じられる場合は、遠慮なくケアマネジャーかサービス提供責任者にお伝えください。認識のずれであれば、その場で整理できます。
Q5:回数を増やしたいのですが、限度額が心配です
A5:要介護度ごとに1か月の利用限度額が決まっており、超えた分は全額自己負担になります。区分ごとの限度額については「要介護1と要介護2は何が違う?」で整理しています。
頼めること、頼めないことの整理もお手伝いします
| カサージュ・ケアプランセンターは高槻市の指定居宅介護支援事業所です。 主任介護支援専門員が在籍し、管理者をはじめ看護師資格を保有しているケアマネジャーが在籍していますので、医療機関との連携が必要なご相談を得意としています。 ヘルパーに頼みたいことが介護保険で使えるか分からない、いまのサービス内容が生活に合っていない、要介護認定をまだ申請していない、断られた分をどう埋めるか考えたい。どの段階のご相談でも承ります。 遠方にお住まいのご家族からのお問い合わせにも対応しています。 まだサービスを利用していない段階でも構いません。話を聞いてみて合わないと感じたら、そこで終わりにしていただいて差し支えありません。 お問い合わせ カサージュ・ケアプランセンター 電話:072-628-7892 受付時間:9:00~17:00(土日祝を除く) |
